歴史が深い犬種 その2 サモエド

歴史が深い犬種 3種類 サモエド

 

犬種サモエド

 

サモエドは、ロシア・シベリア北部に住む狩猟や漁業に携わるサモエド族によって連れられてきた地元の犬種とされています。これらの犬は、そり犬や番犬、猟犬としてだけでなく、寝るときの暖かさを提供する湯たんぽとしても役立ってきました。

サモエドの名声が急速に高まったのは、1870年から1912年までの北極・南極探検の時代でした。この遠征では多くのそり犬が活躍しましたが、その中にはサモエドも含まれていました。彼らは体格に比して食事量が少なく、密な被毛に覆われており、寒冷地において優れた適応力を発揮しました。

初期のサモエドは、黒やタンの毛色を持つものが見られました。後に、冒険家スコットが一匹のサモエドをイギリスに連れて帰国し、英国の繁殖家によって本格的な改良が行われました。この時期から、サモエドの毛色は白が主流となっていきました。また、アレクサンドリア女王もこの犬を愛し、初期の繁殖に関与していました。

1906年には、最初の一頭がロシア皇帝の兄弟であるニコラス公爵からアメリカに贈られました。その後、イギリスから12匹のサモエドが輸入され、アメリカでの繁殖計画が本格化しました。これら12匹の犬の影響が米国内のサモエドの血統に大きく残り、特に「Kara Sea」と呼ばれるオス犬が有名です。

サモエドの犬名は、シベリア・サモエド族が数世紀にわたり飼育してきた歴史に由来しています。その特徴的なスピッツ型の体型からは、「シベリアン・スピッツ」とも呼ばれることがあります。

 

サモエドの特徴

 

サモエドは知的で穏やかな性格を持ち、飼い主に対しては忠実である一方で、見知らぬ者に対しては警戒心を示すことがあります。彼らの特徴的な表情には、「サモエド・スマイル」と呼ばれる口角を上げた笑顔があります。身体は厚い被毛、立ち耳、巻き尾などが特徴であり、ポメラニアン、スピッツ、アラスカンマラミュートと共通の祖先を持っていると考えられています。また、キースホンドとも血縁関係があるようです。耳の先に見られる茶色がかった被毛は、「ビスケット」と呼ばれます。

以前はサモエドはブラックやブラウンの被毛を持つ個体も存在しましたが、イギリスで白い被毛が好まれ、これが選択繁殖の結果、一般的な色になりました。日本では、かつては大きなカラダが好まれず、サモエドとジャーマン・スピッツを交配して小型の日本スピッツが人気でした。しかし、最近では日本スピッツの飼育頭数が減少している一方で、サモエドの大きなカラダと温厚な性格が再び人気を集めています。

 

サモエドの気質・性格

 

サモエドは性格が非常に温和でフレンドリーな犬種であり、長い間人間と共に生活してきた経緯から人なつこく、飼い主に対しては愛情深く接します。初対面の人や他の犬とも仲良くできる社交性がありますが、同時に頑固な一面も見られます。そのため、子犬の時からしっかりとした適切なしつけが重要です。

容姿面では、真っ黒なアーモンド型の目と鼻、上がった口角によって形成される「サモエド・スマイル」が最大の特徴です。がっしりとしたが均整の取れたスタイルを持ち、直線的な首、まっすぐな背中、幅広で深い胸、そして広がった腰が特徴的です。尾は長く太く、ふさふさとした毛で覆われ、背中の上で巻かれています。この特徴的な容姿とフレンドリーな性格が、サモエドを魅力的な犬種として位置づけています。

 

サモエドの被毛

 

サモエドは非常に厚いダブルコートで覆われ、全身を真っ白な毛で飾っています。このコートは豊かで密集しており、やや硬めで長い表面の毛と、ふわふわかつ柔らかなアンダーコートから構成されています。特に換毛期には、抜け毛が非常に多いため、頻繁なブラッシングや手入れが欠かせません。

毛色には基本的に3つのバリエーションがあります。まず、ピュアで真っ白な被毛が特徴のピュア・ホワイト、次に、ピュア・ホワイトよりもわずかに黄色みを帯びたクリーム、そして、ピュア・ホワイトの基調に明るい茶系のラインが入ったホワイト・ビスケットがあります。これらの美しい毛色はサモエドの個性を引き立てていますが、注意深い手入れが必要なことも覚えておく必要があります。

 

 

ブログ関連の質問(サモエド関連)

 

サモエドは暑さに苦しむ?

サモエドは、シベリアでの生活に適応していたため、夏の高温には敏感で、他の犬種よりも暑さに弱い傾向があります。犬の健康を保つためには、室温を約22〜24度に調整し、特に暖房の必要のない時季に注意深く管理することが重要です。散歩の際も、暑い時間帯を避けて早朝や夜などの涼しい時間に活動させるように心掛けましょう。これによって、サモエドが快適に過ごせる環境を提供できます。

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